連載 癒しの環境・23
死のみとり
高柳 和江
1
,
クミコ・クリストフ
1日本医科大学(医療管理学教室)
pp.864-865
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901476
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日本の人口当たり病床数は欧米にくらべて,多い.入院ベッドが増えると患者数も増えるという出来高払い制度で医療サービスの量が拡大してきたからである.平成4年の第2次医療法改正では医療提供に関する基本的な理念が明示され,特定機能病院と療養型病床群の導入が行なわれた.しかしながら,安心して死ねるみとりの施設は,この基本的な理念のなかにはない.いまの病院も療養型病床群も治療して治すところであって,基本的に患者を安らかに死なせるところではないからである.
「在宅で亡くなるときはゆっくり死ねますよ」と,在宅での死をすすめる医師はいう.しかし,人口に占める65歳以上の人々の割合が全国平均で15%を超えるという高齢社会では,介護者の量的質的問題がある.
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