Japanese
English
今月の症例
死の転帰をとったbattered child syndromeの1例
A fatal case of battered child syndrome
大石 慈子
1
,
松尾 光馬
1
,
横井 清
1
,
上出 良一
1
,
新村 眞人
1
,
宮田 市郎
2
Shigeko OISHI
1
,
Koma MATSUO
1
,
Kiyoshi YOKOI
1
,
Ryoichi KAMIDE
1
,
Michihito NIIMURA
1
,
Ichiro MIYATA
2
1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
2東京慈恵会医科大学小児科学教室
1Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine
2Department of Pediatrics, The Jikei University School of Medicine
キーワード:
battered child syndrome
,
被虐待児症候群
,
児童虐待
Keyword:
battered child syndrome
,
被虐待児症候群
,
児童虐待
pp.201-204
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902796
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2歳,男児.1997年9月,鼻部の難治性潰瘍のため眼科より依頼され受診した.眼周囲の腫脹を伴う紫斑,鼻中隔の潰瘍,全身に散在する新旧の混在した擦過傷,色素沈着,瘢痕を認めた.さらに角膜混濁,多発する四肢の陳旧性骨折,成長・発育障害を認め,これらと養育者の言う受傷転機との矛盾よりbattered child syndromeと診断した.同年11月,外的圧迫により生じたと考えられる右気管支損傷からの膿胸のため入院.初診の約11週間後,ストレス性の多発性十二指腸潰瘍からの出血のため死亡した.両親は虐待を否認.Battered child syndromeは背景が複雑多様であるため適切な対応がなされない場合,患児の成長に悪影響を及ぼし再発を繰り返すだけではなく,時に生命の危険を伴うことがある.本疾患の早期発見の手がかり,早期対応に関する問題点について述べた.
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