特集 患者・家族からの発言
鼎談/死を看とる家族の心
川村 佐和子
1
,
冨沢 賢
2
,
井伊 なか子
1東京都立府中病院医療相談室
2東京玩具人形問屋協同組合
pp.1027-1039
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918789
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
川村(司会) 患者さんの手記やご家族の看護記録が1冊の本に作られ,公開されることが多くなりました.それらの本は,病気と闘って生きぬいた患者さんの精神史であったり,そこから生まれた文学や哲学が多いのですが,最近は,看護や医療の在り方に焦点を当てて分析した本が何冊か出ております.例えば,冨沢氏の著書や井伊氏夫妻の闘病記がそれです.
冨沢氏の本は“看護本来の姿とは—妻の死に考える”(看護の科学社刊)という標題です.奥様が37歳の若さで胃癌のために亡くなられました。奥様みえさんは現職の看護婦で,自身の病気についても知識があり,療養生活上に生起する様々の課題について,患者であるとともに看護婦の目でとらえ,分析しておられます,彼女のノートをかたわらにすえ,冨沢氏は生前の彼女が患者の立場になって‘看護本来の姿はどうなければならないか?’と問いかけたことに答えを出そうとして書かれたものです.つまり,看護婦・患者・家族の3者が一体となって,看護の在り方を考えていることが特徴で,主として,入院療養の問題を課題にしておられます.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.