特集 人権/インフォームド・コンセント
エイズ告知と患者の人権
李 文昇
1
1東洋哲学研究所
pp.618-622
発行日 1996年8月25日
Published Date 1996/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901424
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
人権についての定義は広辞苑において「人間が人間として固有する権利,実定法上の権利のように自由に剥奪または制限されない基本的人権」と記載されている.つまり,その解釈は個人の生活を保障するための基本的な権利であり,法学者の表現を借りるならば1)「人間の尊厳の理念にもとづき当然に認められるべき各人の基本的な生活上の欲求であり,これが多くの人によって認められたとき『権利』として憲法をはじめて実定法上で保障されるようになる」と意味づけられるのである.
また,第2次世界大戦直後に採択された世界人権宣言はこのような人権思想を全世界に具現化したもので,「すべての人は,生命・自由及び身体の安全に対する権利を有する」「すべての人は,社会の一員として社会保障を受ける権利を有し」「すべてのものは,衣食住,医療および必要な社会サービスを含む,自己とその家族の健康と福祉のために充分な生活水準に対する権利,ならびに失業,疾病,身体障害,配偶者の喪失,老齢,または不可抗力による生活不能の場合に対する保障の権利を有する」等々と基本的人権の保障について述べている.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.