ほんねたてまえ
守られない患者の人権
F. O
pp.768
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207242
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病院=「人間倉庫」とは昭和11年に太宰治が麻薬中毒で入院中の悲鳴であったというが,当時の精神病院での麻薬中毒患者の取扱いとしては,無理からぬことであろう.それから44年の今,現代化が進んだ病院で患者の人権は尊重されているだろうか.消費者の権利が主張される社会で,お客様扱いをされないのは病院における患者くらいであろう.患者中心とはたて前のみで,医師や看護婦は権威者として患者にのぞみ,弱者に対する強者としての態度で一方的な押しつけが多い.
患者には選択の自由がない.差額ベッドを希望し特別室にでも入院すれば別として,病室,ベッドも選べず,主治医や看護婦を選ぶことはもちろんできない.プライバシーを奪われ,病院のルテイーン,6時の起床から21時の消灯と,平素と違う生活時間,丼飯と冷えた味噌汁,食欲のない患者に更に食欲を減じさせる病院食,特に動けない患者にとっては一種の人間失格の扱いであるとも言われる.
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