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准看護婦養成制度の問題点を実態をふまえて考える―丸茂病院の事例を通して
井上 久
1
1日本医療労働組合連合会組織共闘局
pp.554-556
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901410
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はじめに
4月11日,東京都練馬区の丸茂病院を退職した准看護婦5名が,お礼奉公の改善や不払い賃金の支払い,無資格の学生を医療・看護業務に従事させていた医療内容の是正などを求めて,池袋労働基準監督署と東京都衛生局へ改善の申告・要請をしました.逆に同病院は,そのうちの3名を相手取って,学校関係費用などの返済を求めて裁判をおこしました.准看制度をめぐっては,厚生省「准看護婦問題調査検討会」で審議されているだけではなく,お礼奉公などいまや社会問題ともなっており,注目される裁判となりそうです.
私は,日本医労連の中で「看護婦110番」を担当しており,お礼奉公にかかわる問題や准看学生からの相談を数多く扱ってきました.そのために丸茂病院の件も相談を受けたのですが,これは現在の准看護婦養成制度の抱える問題点を端的に物語る事例と思います.そうした意味から,係争中ではありますが,本件の経緯を必要な範囲で紹介しながら,問題点を改めて考えてみたいと思います.
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