調査・研究
エンカウンター方式によるグループワークの過程分析―授業者の感受性と表現力を高めるために
細川 順子
1
1神戸大学医学部保健学科看護学専攻
pp.1184-1189
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901288
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
基礎看護教育における体験学習の1つとして,エンカウンター形式によるグループワークを採用する学校が多くなった.取り入れる目的や方法は様々であるが,学習者はワーク中に遭遇する体験を通じて,「自己のあり方」について多くの気づきを得ることができる.また自身の体験に基づくこの気づきは,講義形式で得る知識よりも学習者に定着しやすい.しかし,メンバーがこの場で「自己」と出会うためには,グループが信頼性と親密性を基盤にした感情表現の場となることが望ましい.メンバーが互いの体験に敏感に応じることができればグループは成長するが,それには授業者自身の感受性と表現能力が要求される.つまり授業者自身も一メンバーとして自然な内的体験に従いつつ,一方では客観的に科目の到達目標にも配慮しなければならないという課題を抱えている.したがって授業者としてはグループ体験を重ね,その体験から「授業者自身のあり方・傾向」を知る必要がある.
一方C. Rogersは,「エンカウンター形式のグループでは,グループが発展する過程では特徴的な反応の形式がある」と述べている.Rogers自身の体験によるこれらの報告は,グループのあり方とそのダイナミクスについて多くの示唆を与えてくれる.そこで彼の指摘を基に,実際に体験した2場面について,授業者としての内的体験とその反応がメンバーに及ぼす影響について検討した.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.