NURSING EYE
看護の二重構造
二重作 清子
1
1博多高等学校衛生看護専攻科
pp.1190-1193
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901289
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病院経営は冬の時代といわれ,かつ高齢化社会の到来の中で,各病院は独自の機能を発揮しながら生き残りをかけている.その設置主体や病院の規模は様々で,給与体系・労働条件は設置主体の財政上のあり方に大きく影響される.業務に従事する者それぞれに役割があるように,病院にも高度医療を中心にした治療主体の大規模病院があるかと思えば,いわゆる「社会的入院」を強いられる高齢者が対象の中心となる中小規模病院がある.日本の企業は大企業と中小企業の二重構造といわれるのと同様に,病院で行なわれる看護においても二重構造が存在するといえるのではないだろうか.そこには看護の質の問題が内包されていると思われる.
筆者は,ある私設の小規模病院で勤務した経験の中で,設備や労働条件,老人の「社会的入院」,補助看護婦への教育や業務分担など,幾多の問題に出会った.その中には看護者の意識のもち方で解決していける問題も多くありながらも検討するには至らず,看護の質の格差は病院によりますます広がっていることを知った.このような看護の現状を目の当りにした時,同じ視点で問題意識を抱いて検討できる看護者を1人でも多く育てるための教育の必要性を痛感した.筆者の経験とその時の思いを以下に綴ってみた.
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