調査・研究
ターミナル期にある患者を受け持った学生への教師の関わりについて―3事例を通して
時崎 泰子
1
1前:慈恵看護専門学校
pp.510-517
発行日 1995年6月25日
Published Date 1995/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901134
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はじめに
現代は医療の進歩,社会の変化,特に高齢化社会,家族形態の変化などから病院で死を迎えなければならない人が多い.ターミナル期にある患者の看護は,患者がどのような状況であっても,その人らしい生活が送れ,生涯の最後まで生き抜いていけるように援助していかなければならない.
実習でターミナル期にある患者を受け持った学生は,直接的な働きかけをとおしてその患者への看護を学んでいく.学生は患者の苦しみを感じて,患者の気持ちに近づこうとし,少しでも手助けしたいと真剣になる.学生は,それまでに苦痛に喘ぐ人と接する経験がほとんど無い.症状が悪化し苦痛が増強した場合,学生は患者に何ができるのかと悩み,焦り,非常に気持ちが不安定になる.また自分が行なってきた援助を客観的に振り返ることができなくなり,危機的状態に陥ってしまうことが多い.このことは学生にとって「自分がうまく関われなかった」「患者に迷惑をかけた」などの感情を残し,マイナス経験になる場合が多いといわれている.そこで学生が,危機的状態を少しでも早く乗り越え,患者と関わった意味を見いだし,ターミナル期患者への看護を実践できるよう教師として関わることが必要である.
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