学生の研究
疼痛のある臨死患者を受け持って
菅谷 ちさと
1
1京都大学医学部付属看護学校
pp.1297-1303
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916780
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Ⅰ.はじめに
‘死とは,死にゆく過程が終わる一瞬にすぎない’というモンテーニュのコトバは,死に直面している患者の看護をする者にとって,そのケアをすすめる大きなカギとなるのではないだろうか.一般に,死期の近づいた患者のベッドサイドは医師・看護婦の訪問も少なくなり,形式的となる.心の中に大きな矛盾を感じながらも,その枠から一歩踏み出すことをためらう.いや,禁忌とさえ考えている人もいるだろう.そして,取り残された患者と家族がやって来る‘死’をただ待っている.
一般外科実習で受け持った癌の末期の患者をとおして,死にゆく患者の看護の重要性と,その困難さを痛感したので,それをここに報告する.
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