特集 やさしさと思いやりの育成
やさしさ,思いやりをどう育成するか―実習場面における分析
嘉屋 優子
1
,
門間 正子
1
1札幌医科大学保健医療学部看護学科
pp.395-399
発行日 1995年5月25日
Published Date 1995/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901112
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はじめに
学生が患者と接する時に,少なからず教員は,学生にやさしさや思いやりを持って患者に接してほしいと思っているのではないだろうか.それは,看護が対象者の立場に立って,対象者にとって最善の方向へ向かうことを支援するものであり,相手の立場に立つためには,やさしさ,思いやりが重要であると考えられるからである.
しかし,だからと言って,やさしさ,思いやりを前面に出して教育目標を挙げているところはそう多くはないだろう.むしろ暗黙の了解のようなものに思える.実際,筆者らも,やさしさ,思いやりのある態度とは何だろうと考え始めると,様々な側面が浮かんできて,説明が難しい.筆者らの1人は倫理教育に関心があるが,倫理の側面から見ると,自立・自律を妨げるやさしさ,思いやりもあり,むしろ患者に悪影響を及ぼすものにさえ見えてくる.では,やさしさ,思いやりについて,どのように定義し,学生に何を期待すべきなのであろうか.
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