- 有料閲覧
- 文献概要
初めに
このジャーナルを読まれるころには,国家試験の合否発表も終わり,新しく理学療法士になられた皆さんは,理学療法士としての自覚を再認識しているころであろう.試験が終わってからその発表を待つ間の心境は当人でなければわからないもので(合格がわかるまでは,先輩に脅かされたり激励を受けたりでなかなか落ち着かないものだ.),これで皆さんも一息つけたことと思う.また,自分の考えている理想の理学療法士になるべくいろいろ思案する時期かとも思う.
理学療法士に限らず医療に携わろうとするものは,免許を受けて初めてその専門の勉強が始まるのであって,学生時代はその基礎固めをしているにすぎないとよく言われる.確かに,学生時代は人生の選択の時期であり,また悩める時期でもある.学校で一所懸命勉強したもの,学校にはあまり顔を出さずにアルバイトに精を出し実力と称する運を頼りに(?)なんとか卒業したもの,何かに完全燃焼できた人,そうでない人など,さまざまの学生生活を送ったことと思う.学生時代にどんな生活を送っていようと理学療法士の免許を手にした瞬間から,同じスタートラインに並び,自らを学術的に,また社会人として人間的に作り上げていかなければならない.
私は理学療法士として臨床に出てから20年以上も患者さんに接しているが,未だに患者さんから教えられることばかりである.新しく理学療法士になられた皆さんもこれからいろいろなことを学びながら一人前の理学療法士になっていかれると思うが,その道のりの中でぶつかっていくであろう壁を乗り越える際にちょっと気に留めておいてもらえればという程度のことを,つたない私の経験を基に書かせていただいたので,休みの日にでも横になりながら読んでいただきたい.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.