扉
忘れ得ぬ思いやり
pp.13
発行日 1958年4月15日
Published Date 1958/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910573
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旅行先で,それも外国で充分言葉も通じ合えない時に受けた親切は,生涯忘れることの出来ない想い出となるもので,それが次に舞台が変つて外国のお客様に接する時に,是非同じような親切をしてあげたい,してあげなくてはならないと思うようになるものです。ところが私など,常にうけるばかりで思うことの何分の一つも実行して親切が出来なくて申訳けなく思つています。併し,今度こそは!この次には!と今でもその心がけは失わず努力しょうと考えています。親切は,本当の思いやりから出て来る行為ですから義理や見えでは出来るものではなく,又決してびつくりする程大きなものでもないのです。小さな親切,ささやかな思いやりこそ却つて強く,深く,心のうちにしみこんでくるのです。何年たつても忘れることの出来ない思いやりの想い出をいくつか御紹介してみましよう。
ニユージーランドの首都ウエリントンから北端の飛行場まで国を縦断して途中3カ所程施設を訪ねるために曲り乍ら旅行をした時のことです。
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