Scramble Zone
阪神大震災の現場から第二報―連絡をとり合い,心の絆を深めた学生たち
野崎 香野
1
1神戸大学医療技術短期大学部看護学科
pp.358-361
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901103
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被災直後は,教官達自身が大なり小なりの災害を受けたうえに交通手段の殆んどが断たれたことで,出勤が極めて困難な状況におかれました.緊急事態の発生と分かっていても,相次ぐ震災速報に不安と恐怖がのしかかり,どう対応すべきかの判断力もなければ行動もおこらない有り様でした,教学委員(矢本教官)が学内での被害への対応と学生達の状況調査に当ってくれましたが,市内の電話が一切使用出来ないのは致命的なことでした.そこでまず,市外地に居住する者から,下宿者の実家・家族の勤務先へとあらゆる手段で連絡を続けました.「私の実習グループメンバーは大丈夫です」「長田区の1年生はみんな避難しています」等々.その度に涙々でした.学生達も入学時に自分達で作成した住所録をたよりに精一杯情報を集めてくれました.学生も教官も全員無事でした.これを機に学生全員の情報網が出来ましたがこれで学生達の心の絆がより強くしっかりと結ばれた感がいたします.
手記を綴りました学生の小森さんは,長出区の下宿を後にします時,京都の実家に帰ること,友人の誰々さんは無事で,どこに避難していますので報告しておきますと,私の自宅に電話をくれた学生です.
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