特集 看護教育をより豊かに―教員も一般教養科目の視点を持とう
看護教育における生活科学―一般教養課程としての1つの試み
立石 俊宏
1
1美作女子大学
pp.330-335
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901097
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はじめに
近年の学生の受講態度をみていると,講義で聴いたことや,黒板に書かれたことを丁寧にノートし,試験時にはそれを暗記して対処しようとする者がほとんどであるように感じられる.高等学校までの中等教育以下の教科は指導要領に従った,ある定まった範囲(これには,疑問の起こらない一定パターンを取り扱うとか,定説的なもののみ取り扱うという意味も含むが)の教科内容を教えられたまま,それを覚え込む(悪く言えば丸暗記)という傾向を助長するものであったのではないか.上級学校受験のためという情況もあって,やむを得ないということもあるが,高等教育を受ける人達がそのような姿勢を続けるというのは良くないことであって,教えられたことを単に覚えていくだけでは,忘れやすいし,覚えたもの以上に拡がりをもたせることはできない筈である.人間は「考える」能力と知識の応用という点で,質・量ともに他の動物をひき離しており,これらの能力が人間の特徴と言えるのではないか.教えられたことに「何故か」,「どうしてそうなるのか」といった疑問と,それについて自分の思考を加えていく過程を経て,理解,納得していくという態度が必要で,少しでも多くの学生がそれを身につけてほしい.
このような考えのもとに,所属大学では「化学」の授業の初めの部分に,かなり多くの時数を費して,化学史のハイライト的な話をしている.それは以下のようなものである.
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