連載 学生のための看護診断入門・8
慢性関節リウマチによる重度の運動機能障害のある女性の看護診断
堤 由美子
1
,
三浦 陽子
1
,
田畑 裕子
1
,
別府 博子
1
,
中馬 成子
1
,
中俣 直美
1
,
柴田 恭亮
1
,
鹿島 友義
2
1鹿児島大学医療技術短期大学部看護学科
2国立南九州中央病院
pp.876-880
発行日 1994年11月25日
Published Date 1994/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900964
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私たちの日常生活や社会生活などのすべての活動は,基本的には身体運動によって成り立っている.したがって身体運動が大きく障害されると,生存に必要な生理的ニードや社会的ニードが自分で満たせなくなり,他者からの適切な援助がないかぎり生命の危機にもつながりかねない.
今回の事例は,慢性関節リウマチ(以下RAと略す)によって自分の生命を維持するための運動機能をほとんど失い,生きる上で最低限必要な栄養や水分といったものさえ欠乏している状態で転院してきた患者である.学生はこの患者の受け持ち体験を通して,運動機能の障害が,我々が普段何げなく行なっている食事・排泄・清潔などの日常生活行動に,深刻な影響を及ぼしている具体的有様を学ぶことが出来た.またその影響が単に行動の制限に留まらず,栄養・水分といった生命に直結する問題や心理的問題に波及することも学ぶことが出来た.学生にとってこれらの体験が,患者の日常生活を支える援助の大切さを実感出来る良い機会となったと思われる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.