調査・研究
チェルノブイリ原子力発電所事故による高汚染地における小児血液科病棟の看護システムに関する研究
鬼熊 千代子
1
,
鷹野 和美
2
,
小池 健一
3
,
БОГАЧЕНКО Михаил
4
1信州大学医学部付属病院小児科
2信州大学医学部衛生学教室
3信州大学医学部小児科学教室
4ゴメリ州立病院小児血液病棟
pp.450-452
発行日 1994年6月25日
Published Date 1994/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900859
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緒言
旧ソビエト連邦ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号炉が爆発事故を起こしたのは1986年4月26日未明のことであった.爆発により拡散した放射性核種は地球規模の環境汚染をもたらし,日本においても各地で農産物が被害を受け,廃棄されたことは記憶に新しい.風によって運ばれた放射性核種の多くはロシア,ウクライナ,ベラルーシのスラブ3国に降下し,環境,産業および市民生活に多大な影響を与えている.
旧ソ連における医療水準は74年に及ぶ全体主義のもとで顧みられることもなく,世界の趨勢とはかけはなれたものとなっている.小児白血病は未だに「不治の病」であり,病院ではB型肝炎の水平感染が猛威をふるっている.小児白血病,甲状腺癌の発生に関する研究は肯否定の両スタンスで活発に行なわれているが,患者を直接ケアするべき看護システムについての研究は前例がない.
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