調査・研究
ライフサイクルに視点を当てた対象理解の方法を考える―卒業時の看護観レポートの分析から
常盤 洋子
1
,
小西 美智子
2
,
山本 美津子
2
1同愛記念病院付属助産学科
2日本医科大学看護専門学校
pp.374-379
発行日 1992年5月25日
Published Date 1992/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900387
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護は生活している人間を対象とし,誕生から死に至るまでの人の一生に深く関わる.看護の実践は対象と看護婦の1対1の関係を基本とし,臨床の場では患者の状況に応じた看護の実践が求められるから,臨床実習は看護基礎教育のなかで重要な位置を占めている.学生は対象の個別性を理解し,変化に応じた看護実践の学習を積み重ねることにより,看護婦としての専門性を身につけ,また人間的成長をみることができる.そういった学習を通して,看護や看護という仕事をどうとらえるかという看護観が育つ.しかし,学生は看護基礎教育がめざしている対象のライフサイクルに視点を当て,その人のよりよい人生に貢献できる看護の在り方に視野を広められているだろうか.また教員は対象理解よりも看護過程の展開方法の指導に力を注いではいないだろうか.そのような疑問を持ち,看護過程の基盤になるものは対象理解であり,対象理解は看護観に基づいてなされるという考えのもとに,学生の卒業時の看護観を分析した.分析の結果から,学習上の問題を明らかにし,臨床実習における対象理解の指導方法の工夫と教員の関わり方の課題を検討し,1つの知見を得ることができたので報告する.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.