特集 人生100年時代の看護師の養成―慢性疾患、ヘルスケア、生き方を見すえる
―病、痛みとともに生きる高齢者への理解とケアの視点【慢性腎臓病、透析】―治療とともに生きる人の望む暮らしの支援
内田 明子
1
1聖隷佐倉市民病院看護部
pp.56-59
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202044
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慢性腎臓病(CKD)と高齢化
わが国では高齢化の進展、生活習慣の変化を背景に、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)の患者数は1300万人以上といわれている。また、CKDは自覚症状が乏しく、いったん発症すると治癒することのない不可逆的疾患であり、その進行により脳血管や心血管疾患の発生リスクにもなる。さらに進行し末期腎不全に至った場合、腎代替療法として透析治療(血液透析、腹膜透析)や腎移植が必要となる。
わが国の透析患者数は年々増加し、特に65歳以上の患者の増加が顕著である[図1]。日本透析医学会によると、2020年末の慢性透析患者数は34万7671人で、平均年齢は69.4歳であった。1年間の新規透析導入患者数は4万744人、導入患者の平均年齢は70.9歳と、透析治療は高齢者の治療となっている。1980〜90年前半は、透析治療を受けながらの社会復帰(職場復帰)が大きな看護目標であったが、患者の高齢化によって看護目標も、より負担の少ない治療の選択と継続、住み慣れた在宅での安寧な暮らしの継続へと変化してきた。
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