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心不全の病態と特徴
心不全は、急性・慢性心不全診療ガイドラインでは「なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されている1)。あらゆる心疾患の終末像であり、心臓の収縮・拡張機能が低下し、需要に見合った血液の全身臓器への供給ができなくなることでさまざまな症状を生じる。さらに、増悪と緩解を繰り返しながら再入院を反復し、徐々に病態が悪化するという特徴をもつ。心不全患者は、心不全による症状により日常生活に支障をきたし、QOL(Quality of Life)が低下する。また、生活習慣に起因した高血圧や脂質異常症、糖尿病といった基礎疾患が影響し、加齢に伴い発症のリスクが高まる。そのため、超高齢社会のわが国において心不全患者は増加している。
慢性心不全は、心臓の慢性的なポンプ機能の低下により、末梢主要臓器へ必要な血液量を拍出できない状態であるが、病期としてのステージの経過のなかで増悪と緩解を繰り返すものとしてとらえている[図1]1)。この心不全の進展ステージは、ステージAからDの4つのステージに分類される。ステージAは心不全発症の危険因子を有するが、器質的心疾患のない状態、器質的心疾患を認めても心不全を発症していない段階はステージBとなる。心不全症状を有する状態になるとステージCとなり、急性増悪と緩解を繰り返し、身体機能が低下していく。徐々に治療による効果が得られにくくなり、治療抵抗性心不全のステージDへと移行していく。この進展は非可逆性であるため、次のステージに移行させないための予防の観点や急性増悪の回避が重要となる。
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