特集 人生100年時代の看護師の養成―慢性疾患、ヘルスケア、生き方を見すえる
―病、痛みとともに生きる高齢者への理解とケアの視点【認知症】―治療とともに生き、望む暮らしへの支援―認知症の人の最期を見すえた支援
伊東 美緒
1
1群馬大学大学院保健学研究科成人老年看護学
pp.52-55
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202043
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認知症看護の考え方
認知症は基本的に治るものではありません(正常圧水頭症は除く)。高齢者の場合、認知症が治らないということは、病院・施設・在宅のどこでかかわる場合であっても、人生の最終段階にある、またはそれに向かっていると考えることができます。軽度の認知症で身体機能が高く保たれている状態で、最期のときはずっと先だと思える場合であっても、これから少しずつ脳の機能が低下することを考えると、最期の生き方を支える看護について考える必要があります。なぜなら、長寿を達成し、最期に向かって生き抜いていると考えれば、栄養や清潔などの管理にこだわりすぎず、苦痛を減らし、楽しみや喜びを増すケアを考えるようになるからです。
また、どんなに認知症が進行したとしても、今行われているケアについて、認知症の人は「嫌」と表現することはできます。これは認知症の人の意思です。しかし、従来の看護のあり方では、本人がどんなに一生懸命「嫌」ということを表現しても、認知症の人の意思は尊重されていません。
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