特集1 新人教員の「困った」を考える
「新人看護教員の能力開発支援システムの評価」の開発に向けて
小山田 恭子
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科 看護教育学領域
pp.564-568
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201984
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これまでの新人教員支援の課題
保健師、助産師、看護師および准看護師(以下、看護師など)を養成する大学、短期大学(以下、短大)、養成所などの高等教育機関の教員にとって、教員養成課程での学修は必須ではない。養成所の場合は、専任教員養成講習会などの受講が原則とされているが、2018年の日本看護協会の会員調査では講習会などの研修を修了している教員の割合は76.1%1)であり、大学または大学院で教育に関する科目を履修した者も13.5%と、全員が教育能力を保持して就職しているわけではない。
看護師等養成所のような教員要件をもたない大学や短大では、教育能力の担保はさらに課題となっていた。39歳以下の若手助教・助手を対象とした土肥ら2)の研究では、対象者が必要とする支援としては、【研究に関する支援】【教育活動に関する支援】【職務遂行に関する支援】【継続学習に関する支援】の4つが抽出されている。新人看護教員の課題は、このように教育・研究者としての基礎的知識・技術の不足はもとより、「実践のエキスパート」から「教育の初心者」に移行することに伴う自己効力感の低下や教育組織文化への適応など、キャリアの移行に伴う課題などさまざまな困難に遭遇している3)。
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