特集 地域とつながる看護教育
学生が地域から学びを得るために―地域創生看護学とフィールドワーク演習
島田 恵
1
,
野村 亜由美
1
1東京都立大学健康福祉学部看護学科
pp.318-323
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201937
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第5次指定規則改正において「在宅看護論」の名称が「地域・在宅看護論」へと変更になり、また基礎看護学に続く位置づけとなりました。これは、従来のように各領域の看護を学んでから学習する統合科目としての位置づけからの大きな変更といえます。このことにより私(島田)は、在宅看護学の教員としてかねてから考えていた“私たち看護師が出会う患者は、患者である前に地域で暮らす人である”ということを、看護を学ぶ前に学習させることが実現できるのではないかと考えました。具体的には、地域の人々がどのような暮らしをしているのかを生活者の視点で学んだあとに看護専門教育を学び、あらためて地域で暮らす人々を看護の視点でとらえて、地域で暮らすことの支援について、学生なりのまとめをするという学習過程をふめないか考えるに至りました。こうすることで、看護の学習の入口(1年次)から出口(4年次)へ向かって一本の道を通し、各領域の専門的な学習を終えたあとに来た道を振り返って総合的なまとめを行うことができるのではないかと考えたのです。
このような考えは、日頃の教育活動のなかで、基礎看護学と在宅看護学の教員が互いに感じていることをざっくばらんに語り合うなかでかたちづくられたものです。教員同士が領域をこえて教育上の課題を共有し合っていたことが、新カリキュラムに向けて科目を構想する際の土台になりました。本稿では、東京都立大学(以下、本学)における地域・在宅看護論に関する教育内容、特に新科目「地域創生看護学」を中心に、学生が地域から学びを得るために考えた工夫などを紹介します。
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