特集 学生・教員をまもるハラスメント対応
ハラスメント対応の基本
葛 文綺
1
1愛知学院大学心身科学部心理学科
pp.1006-1016
発行日 2021年11月25日
Published Date 2021/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201842
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ハラスメント概念と対応の歴史
昨今「〇〇ハラスメント」という言葉をよく耳にするようになった。オリンピックをめざすスポーツ選手が監督などの言動をパワーハラスメントとして訴えた報道や、政治家が女性蔑視(ジェンダーハラスメント)の発言で指摘を受け辞任したことなどが記憶に新しい。また、顧客による悪質なクレーム行為がカスタマーハラスメント(カスハラ)として、メディアに取り上げられている。
ハラスメントと一言で言っても、さまざまなタイプのハラスメントがあるが、本稿では教育機関でよく起こるといわれている3つのハラスメント、セクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)、パワーハラスメント(以下、パワハラ)、アカデミックハラスメント(以下、アカハラ)を中心に取り上げ、ハラスメント対応の基本について述べる。まず各概念を整理し、日本でのハラスメント対応の歴史について振り返る。そして、ハラスメントに対する防止体制を見える化して示す。また、筆者の学生相談の経験もふまえ、心理職がハラスメント相談にかかわる意義についても述べる。
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