特集 性暴力―「起きた後/起こる前」に支援者は何ができるか?
病院の性暴力/セクシュアル・ハラスメントに対応する
今北 哲平
1
1鳥取生協病院心療科
pp.244-248
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25020244
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I おとぎ話と現実
患者からの暴言暴力が発生したら,職場が事案をキャッチし,速やかにマニュアルに沿った安全管理上の対応を進めていけばよい―しかし,こんな速やかな対応はおとぎ話ではないかと思うことがある。現実には,なぜか事案の発見が遅れたり,不適切な相談対応がなされたり,マニュアルがあっても「絵に描いた餅」と化していたりすることが往々にしてある。
本稿では,病院における性暴力/セクシュアル・ハラスメントのなかでも,加害者が患者であるケースを主題とし,その二次予防(早期発見・早期対応)に関する課題と対策について考えたい。また,最後には社会政治的文脈の影響についても触れたい。
なお筆者は精神科病床のない一般病院に勤めており,心理職として医療(リエゾン活動)と産業精神保健(病院職員のメンタルヘルスケア活動)の両面から患者の暴言暴力事案にかかわる機会がある。偏った立場からではあるが,どのようなケースにおいても重要となる視点を共有できれば幸いである。

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