特集 看護技術の効果的な習得をめざして
生活援助技術習得における教育的かかわり―動画撮影を取り入れた自己練習の促し
横山 友子
1
1四條畷学園大学看護学部
pp.612-616
発行日 2021年7月25日
Published Date 2021/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201762
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近年、若年層における生活スタイルの変化は著しく、生活体験が不足している学生が多い。ふきんやぞうきんをしぼらずともウェットティッシュを使えばよいし、包丁が使えなくてもフードプロセッサーを使用すればみじん切りができるなど、ボタンひとつで完結する家事も増えている。そのためか、日常生活援助技術の演習ではシーツのしわを伸ばすのに指先だけでつまんで引っ張る、タオルをスポンジと同じようににぎってしぼる、60℃を超える温度で洗髪用の湯を用意するといった学生が散見され、生活体験の乏しい学生の演習ではどこから指導を始めるべきか頭をかかえてしまうこともある。このような状況において、看護師に求められる看護実践能力と卒業時の到達度に達するために、学内での講義と演習時間だけで看護技術を習得することは難しい。
一方、日常生活援助技術を習得できていないことは、学生自身も強く認識している。日常生活援助技術は臨地実習時に実施することも多く、低学年時に習得しておくことが望ましい。ゆえに、そこできちんと習得できなかった学生にとっては、臨地実習において極度の緊張と不安をもつ要因ともなる。しかしながら、日常生活援助技術を習得するには教員による指導と、多くの練習時間を要するうえに、たくさんの技術項目について技術向上をめざすにはモチベーションも必要となるため、学生自身の力だけで解決することは難しいといえる。日常生活援助技術を習得できるよう、看護技術実践能力を向上させるための新たな教育方法が求められる。
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