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書評 授業を活性化するLTD―協同を理解し実践する紙上研修会
知念 榮子
1
1学校法人湘央学園浦添看護学校
pp.61
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201407
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「現場で活躍する人」を育てる方法を学ぶために
本書は、安永悟氏が数多くの研修会で永年取り組んでこられた「LTD話し合い学習法」を、紙上研修として著した書である。著者が紙上研修とした意図は、時間的制約や物理的制約を越えて、誰もが参加できるからとしている。そして「伝えたい内容を体系的かつ系統的に伝えられ」、著者が研修中に「なにを手がかりに、なにを考え、なにを意図して、どのように振る舞っているのかをタイミングよく盛り込むことができる」と述べている。確かに、本書はすべて語り口調で記されており、対面研修とほぼ同様な感覚が得られ、著者を身近に感じることができる。また、常に手元に置いて、疑問に思うことはすぐに、あるいは読み手の時間があるときに何度でも確認ができる。読みやすく、「LTD話し合い学習」に関する本を初めて手にする人でも容易に理解ができる。
本書の構成内容は、大きく、①学びの場づくり、②教育の目的と方法、③協同学習の考え方、④LTD話し合い学習法、⑤分割型LTDの体験、⑥LTD授業モデル、からなっている。そのなかで私が注目したのは、「教育の目的と方法」の章である。著者が教育研究活動の目的とした「『現場で活躍できる人』の育成」で述べている人材像は、私自身も共感することができ、厚生労働省「看護基礎教育検討会報告書」で示された、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン改正案の「教育の基本的考え方」に通ずるものがある。これからの看護基礎教育は、著者が本書で述べている「常に変化成長できる人」を育てることに尽きると思う。「常に変化成長できる人」とはどのような人材か、ぜひ本書で確認していただきたい。
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