連載 臨床倫理を映画で学ぼう!・6
変えられないこと―『世界一キライなあなたに』
浅井 篤
1
1東北大学大学院医学系研究科
pp.492-493
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201263
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作品紹介
今回は『世界一キライなあなたに』(トミー・ウィルコラ監督、2016年、仏・英・ベルギー)を取り上げます。舞台はイギリスの田舎町。主人公は26歳、実家暮らしの女性ルイーザ。彼女はとても明るく親切な女性で、近所のカフェでウェイトレスをしていました。ところが長年勤めていたカフェが廃業することになり、家計を支えるために31歳男性ウィルの身のまわりの世話をする仕事を得ました。6か月の期限付きの介護職です。
ウィルは大成功した実業家で、実家もお城を所有するほどの資産家でした。しかし2年前の交通事故で脊髄を損傷し、首から下がほとんど動きません。リハビリを続けていますが回復の見込みはありません。活動的で人生を謳歌していた彼は、現在の自分の状態が受け入れられず、スイスで自殺幇助を受けることを計画しています。彼の父親は息子のこの世を去るという決断を受け入れていますが、母親は大反対です。ウィルはルイーザに対しても、はじめは拒絶的でつらくあたりました。しかし、ある日彼の計画を知ったルイーザは、なんとか彼の翻意を促し、生きる望みをもたせようとするのでした。
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