「ハードヘッド＆ソフトハート，そして勇気」で流れを変える―二木 立：「世界一」の医療費抑制政策を見直す時期

　昨年11月刊だから新書にはちがいないが，紹介が今頃になったことを後悔している．それほど，一刻も早く多くの人に読んでもらいたいのが本書だ．『「世界一」の医療費抑制政策を見直す時期』―このストレートなタイトルがそのまま本書の主題であり，かつその緊急性を物語っている．

　「わが国の医療費水準（『国民医療費』のGNPに対する割合）」は「歴史的に，欧米諸国に比べて相当低い水準にとどまっていたにもかかわらず，1980年代に引き上げられず，逆に，1980年度の4.9％から1990年度の4.7％へと，わずかながらも低下した」「OECD（経済協力開発機構）加盟24か国中，1980年代に総医療費のGNPに対する割合が低下した国は，日本以外には2か国（ルクセンブルクとスウェーデン）しかない．しかも，この両国とも，1980年の医療費水準は日本よりも高かったのである」（本文p. 2）．