特集 薬物依存症看護が「苦手」だと感じる看護職のみなさんへ
薬物依存症看護なんて大キライ?
西村 直之
1
1医療法人卯の会あらかきクリニック
pp.14-27
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900583
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力量が問われる依存症看護
大麻,あへん,有機溶剤,覚せい剤,咳止め薬,向精神薬,コカイン,LSDなどなど古今東西,過去から現在まで,人は気分や感覚を変える物質を見つけ出し利用してきました。意識を変える便利な道具ですが,この薬物という道具自体は,人からコントロールされることが嫌いなようで,星の数ほどの薬物乱用・依存者を世に送り出しています。このうちの幾ばくかの人たちは犯罪者として裁かれ,幾ばくかの人たちは病者として医療化され,大半は厄介者といわれながら死んでいきます。精神医療で出会うことができるのは,星の数ほどの薬物乱用・依存者のうちほんのわずかな人たちにすぎません。
わたしたちは,希望そして回復につながるかもしれない細い糸に触れることができた数少ない薬物乱用・依存者と出会っているといえます。ところが,このほんのわずかな人たちとどのように付き合えばよいかとなると,ほとんどの援助職者が困った顔になってしまいます。希望につながるかもしれない出会いを,どのように育て発展させてよいのかわからずに,出会いを持て余してしまうことも少なくないように見受けます。
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