世界の波
世界一の女性
末松 満
pp.19-20
発行日 1952年4月10日
Published Date 1952/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200260
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30頭の象を引きつれ,アフリカのケニヤの奥地で一夜を明かしたフィリップ公とその令夫人エリザベス--今日も楽しい狩に出ようと語り合う折から,新聞記者があわただしく電話のベルを鳴らして,ジヨージ六世崩御を伝えた。今年25才,かがやくぼかり美しいエリザベスは,もはやフィリップ公の令夫人どころではない。世界の4分の1を占める人類と領土を支配する大英帝国女王の地位に知らぬ間に坐つていたのである。
特別仕立ての飛行機に迎えられ,6,500キロを一飛び,チヤーチル,アトリー,イーデンの居ならぶロンドン空港へ降り立つた時には,黒のオーヴアーに身を包んだとはいえ,青いスーツがちらちらと見える若い貴夫人の姿だつたが,翌2月8日即位の儀式に臨んでエリザベス二世と名乗るに及んでは,頭上に王冠を輝やかし,威風あたりを払つた。
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