書評
二木 立 著―「世界一」の医療費抑制政策を見直す時期
千田 富義
1
1秋田大学医療技術短期大学部
pp.526
発行日 1995年6月10日
Published Date 1995/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107886
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人口の高齢化,慢性疾患の増加などの疾病構造の変化に伴って,リハビリテーション医療が次第に市民権を増しつつあるように見える.しかし,この疾病構造の変化は医療費高騰を生む原因とされ,種々の医療サービスを削減することの根拠にされようとしているのも確かである.私たちが肌で感じるリハビリテーション医療はさほど楽観的ではない.
本書はこのような医療の状況に対する処方箋を示している.1980年代以降の医療政策を詳細に分析し,現在必要なものは厚生省が進める医療費抑制政策ではなく,公的医療費の総枠の拡大であることを明快に論じている.医療費高謄に対して何らかの抑制もやむなしかという感を持っている者にとって,このような論の展開は新鮮である.
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