- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2017(平成29)年度の在留外国人は256万人を超え、前年比7.5%増で過去最高となった。都道府県別では、東京都が約54万人と最も多く、全国の21.0%を占めている1)。また、2017年12月には、年間訪日外国人旅行者が3000万人を超えた2)。さらに、改正入管法が可決・成立3)し、外国人労働者の受け入れ拡大も想定されており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、さらなる在留・訪日外国人の増加が見込まれる。
こうした状況から、医療機関を受診する外国人は今後増加していくことが予想され、外国人患者の受け入れ体制の充実が急がれている4,5)。それに伴い、看護基礎教育でも国際看護や異文化看護にかかわる教育の導入や外国人患者への看護を視野に入れた看護師育成が求められてきている。
東京都立広尾看護専門学校(以下、本校)は1学年定員80名の3年課程看護専門学校である。所在地は東京都渋谷区恵比寿であり、街中には外国人が多く見られる地域である。実習病院である東京都立広尾病院(以下、広尾病院)は、東京都の基幹災害拠点病院に指定された病床数469床の急性期型病院である。2017年度の新規外国人患者数は1,707人、国籍にして90か国を超える。外国人対応に力を入れており、2016年度から患者支援センターに外国人向け医療コーディネーターを配置している。2016年に外国人患者受入れ拠点病院に認定、2017年には「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」6)の認証医療機関となっている。
広尾病院での本校学生の臨地実習においても、近年、外国人患者を受け持つことが珍しくなくなり、外国人患者の理解や看護について学習の必要性が増してきた。そこで、今回、広尾病院の外国人向け医療コーディネーターである看護師(以下、医療コーディネーター看護師)と本校の基礎分野「文化人類学」の講師(以下、文化人類学講師)および看護教員とで「異文化看護」のコラボレーション授業を実施したので報告する。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.