連載 障害や病いとともに学ぶ、働く・3
進路選択
瀬戸山 陽子
1
1東京医科大学医学部看護学科看護情報学
pp.318-321
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201220
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実習を経て感じたこと
前回の連載で、私は、各領域の実習にそれぞれ介助者(伴走者)をつけて実習へ行ったと書いたが、精神看護の実習だけは必要ないだろうとのことで介助者がおらず、気持ちのうえではなんだか自由を感じていた。もちろん、領域ごとに介助者をつけて実習に出させてもらえることは、とてもありがたかった。母校には感謝してもしきれない。それでもやはり、一看護学生に介助者がつくことでの難しさや、介助者がいることによって、以前はできていたであろうことができなくなった自分に直面せざるを得なかったので、精神看護の実習では、それを感じず心が軽かったように思う。もちろんそれなりには大変だったが、今となっては、すべてがいい思い出だと感じる。
そんなこんなで私は、一領域を除いてすべての実習において介助者をつけてもらいながら、定められたカリキュラムを終えることができた。実習中は必死だったのでゆっくり考える暇はなかったが、実際に実習に出たことで、いわゆるベッドサイドの臨床現場は自分にとって非常に難しさが多い場所だということを知った。まず、大抵の病棟のナースステーションは、物が多くて狭い。私の補助具として片方のロフストランド杖を使用しているが、杖を使って歩くのには人より幅をとるため、ナースステーションでは、いろいろなものにぶつかった。私は当時既に左の聴力と視力がなく、加えて、左の三叉神経麻痺(顔半分の知覚麻痺)の症状もあったため、自分の左側の世界を感じなかった。そんな状態のため、より一層物や人にぶつかってばかりだったように思う。
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