連載 臨床倫理を映画で学ぼう!・4
自分の余命を知った人たちは―『神様メール』
浅井 篤
1
1東北大学大学院医学系研究科
pp.322-323
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201221
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作品紹介
今回は『神様メール』(ジャコ・ヴァン・ドルマル監督、2015年、仏・ベルギー・ルクセンブルグ)を紹介します。主人公は11才の少女エア。彼女の父親は「神」で、自分が最初につくった地(!)であるブリュッセルに住んでいます。神は、家族に対してとても横暴で、人間社会を多くの不幸とわずかな幸福、偽りの希望の世界にしました。全能なのに人間の救済に関しては何もせず、普遍的な不快な法則を創作して悦に入っている輩です。
こんな愚かな父親との10年間の監禁生活に嫌気が差したエアは、父親への復讐として彼の信頼を失墜させるために全人類に余命を「送信」して世界を大混乱させ、同時に人間界に降りて新しい6名の使徒を探し出し、新約聖書を書き直すために旅に出るのでした。ちなみに彼女の兄はイエス・キリスト(JC)。人間界で彼女は6人6様に不幸な使徒たちに出会い、その人生の語りを聞くと同時に彼らの「心の音楽」を聴き取ります。そして、従来のキリストの使徒12名にこの6名が加わり合計18名になったとき、世界は神から女神(エアの母)に委ねられ、人々に想像を絶する奇跡が起きるのでした。
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