特別記事
どうすれば『論理的に書く・読むスキル』が身につくのか?
福澤 一𠮷
1
1早稲田大学文学学術院心理学コース
pp.138-144
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201179
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
一般に、書くことと読むことは別々のように思われています。ところが、両者は表裏一体なのです。たとえば、自分で何かを書いてみる。すると、当然のことながら、今書いたものは即読む対象になっています。レポートや論文を書く場合も、書きっ放しで、一度も推敲せずに提出することはまずありません。自分で書いたものを最低でも数回読み直し、書き直すでしょう。このように、何かを書き上げるまでのプロセスを振り返ってみるなら、書くと言う行為のほとんどは読み返す行為からなっていることがわかります。ですから、書くことと読むことを切り離して考えることはできません。
このように読み書きを繰り返し、最終的に書かれてものをより質の高いものにするために必要なのが「論理的に考える」という行為です。これ以降、論理的考えるために必要な道具について順にお話をします。その話には読者の皆さんに覚えていただきたい次の用語が含まれています。それらは、論理、論証、主張、根拠、論拠、導出、仮定です。これらの用語の意味を理解し、その使い方を身につければ、論理的に書いたり、読んだりすることの基礎ができ上がります。
なお、これからお話しする内容の詳細は『看護学生が身につけたい論理的に書く、読むスキル』(医学書院、2018)でふれています。より理解を深めるために、あらためてお読みいただければ幸いです。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.