特集 シナプスをめぐるシグナリング
10.スカフォールドタンパク
TANC1:スパインサイズ制御系との関連
鈴木 龍雄
1
Tatsuo Suzuki
1
1信州大学大学院 医学系研究科 加齢適応医科学系独立専攻 神経可塑性学分野
pp.500-501
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101064
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新規のスカッフォールド/アダプター分子,TANC1
筆者らは新規のシナプス後肥厚部(PSD)タンパク質を発見するために,C末にPDZドメイン結合モチーフを持つタンパク質をデータベース検索し,KIAA1728に着目して研究を進めた。研究開始当初,KIAA1728の配列は5'コーディング配列を欠いていたので,ラットから完全長cDNAをクローニングし(2002年),コードされているタンパク質分子を,分子内に含まれる三つのtetratricopeptideリピート(TPR),10個のankyrinリピートおよび1個のコイルドコイル構造に基づき,TANC(a protein containing TRR,ankyrin repeat and coiled-coil)と命名した1)。その後,TANC1となった。TANC1は分子構造からショウジョウバエの筋肉分化に関与するRolling pebbles遺伝子のオルソログである。mRNAは脳を含むいろいろな組織で発現している。ラット脳内では小脳と海馬に高発現しているが,大脳皮質での発現は低い(図)。ラット前脳では生直後から発現しているが,成獣でやや発現が増加する。mRNAは培養神経細胞の樹状突起にも局在している。
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