映画の時間
—巨匠チャン・イーモウが初めて挑む〈予測不能〉スパイ・サスペンス—崖上のスパイ
桜山 豊夫
pp.168
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209995
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1987年に『紅いコーリャン』で監督デビューし、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞という鮮烈な印象を残したチャン・イーモウ監督もすでに古希を過ぎておられますが、今回は彼が新たな分野に挑戦した作品をご紹介しましょう。
舞台は1934年の満州国、ハルビン。満州国は日本のかいらい政権ですが、その満州国政府の特務機関が銃殺刑を執行する場面から映画が始まります。順次処刑が進む中、最後に残された被疑者は銃殺の恐怖に耐えきれず、ソ連で訓練を受けた中国共産党の工作員がハルビンに侵入する計画を自白してしまいます。そしてその4人が雪深い森の中にパラシュートで降下してくる場面に変わります。侵入計画が露見している中で、スパイの4人がハルビンに向かうというサスペンス。ベテランのチャン・イーモウならではの緊迫した演出に観客は引き込まれていきます。
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