特別記事
東日本大震災・福島第一原発事故5年後の災害看護を考える─看護学生による福島県南相馬市での研修をとおして
小坂 志保
1
,
久田 満
2
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科博士課程
2上智大学総合人間科学部心理学科
pp.754-760
発行日 2017年9月25日
Published Date 2017/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200829
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緒言
福島県南相馬市。チェルノブイリと並んで人類史上最悪ともいわれる東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下,原発事故)に伴う放射能汚染が広がり,二重にも三重にも住民を苦しめることになってしまった地域である。地震や津波で命を落とした人の数も多く(2016年11月現在,1123人)1)避難所や仮設住宅,あるいは遠方での避難生活によるストレスが原因となったいわゆる「震災関連死」の数も他県や県内の他市町村と比べてとびぬけて多い(2016年11月現在,487人)1)。加えて,放射能と風評被害である。福島県から横浜に避難した中学生が,福島出身であることを理由に極めて陰湿ないじめにあっていたという報道2)は,5年以上が経過した現時点でも,震災による被災状況が継続していることを物語っている。
そのような背景をもつ南相馬市で,将来の日本の看護を担っていく学生たちが研修を受けることには,どのような意味があるのだろうか。少なくとも以下の4つが考えられる。
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