連載 日本の災害と公衆衛生——過去・現在・未来・3
東日本大震災(福島県)10年間の教訓
安村 誠司
1
1福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座
pp.66-71
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209975
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
東日本大震災における3県の違い
2011年3月11日午後2時46分に発生した東北地方太平洋沖地震に伴って起こった東日本大震災では、被害が甚大であった岩手県、宮城県、福島県が被災3県と呼ばれます。本誌86巻12号で、主に宮城県における東日本大震災の状況が取り上げられています1)が、本稿で改めて福島県における状況を取り上げるのは、東京電力福島第一原子力発電所における事故(原発事故)が起こったことで、宮城県における被災の状況と著しく異なっているからです。
筆者は、発災時に現職として勤務しており、原発事故による放射能汚染に関するさまざまな情報が飛び交う中、その規模、影響の範囲は極めて大きく、福島県には住めない可能性があるという内容の報道に動揺したことも事実です。その後、公衆衛生専門家として、県民健康調査を通じた支援に従事することになりました。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.