連載 すべって,転んで,立ち上がるために 〜看護職生涯発達学から〜・5
非日常の手術室で看護を見いだしていく新人をみつめて
味木 由佳
,
佐藤 紀子
1
1東京女子医科大学
pp.685-691
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200815
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大学院入学までの私の経験
あなたはどういう看護師ですかと聞かれたら,私は「新卒で手術室に入った看護師です」と今でも答えます。それくらい,手術室での新人時代はインパクトのある経験だったのです。自分自身,手術を受けたこともなければ,手術を見たのは学校での見学実習のみ。麻酔にかかって眠ることも,おなかを切っても再び目覚めることも,最初はとても不思議なことでした。命をあずかって緊張している医師は,ピリピリしていますし,その空気に呼応して先輩看護師も自分自身に厳しく仕事をしているように感じました。
私の場合,希望が通って入った手術室でしたが,手術という非日常の光景のなかから看護を見いだすのに時間がかかったのです。手術に毎日立ち会うだけでも精神的に疲弊しましたし,5日勤─休み─5日勤の繰り返しで体はヘトヘトでした。毎日新しい1〜2件の手術につくために術式についての予習復習が必要で,勉強が追い付かず同僚宅に泊まりがけで勉強したことも多くありました。
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