連載 優れた“わざ”をどう伝えるか 技術の「背後にある意味」を教える・6
いつの間にか消えてしまった看護技術 おんぶ
阿保 順子
1
1北海道医療大学大学院看護福祉学研究科
pp.476-482
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200768
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「おんぶ」が看護技術でなくなった時代
看護は,日常的な行為から出発している。病院という環境にいると,専門的な看護技術を生んだ日常的源泉を忘れていることに気づかされることがある。その1つが「おんぶ」である。
次頁でくわしく紹介するが,ある師長さんが乳児室に入院中の子どもを「おんぶ」したのを見てびっくりした経験がある。その頃,おんぶは,街でも見かけることが少なくなっていた。平成のはじめ頃である。私自身のなかでは,おんぶは家庭という日常生活場面にしかなかった。病院のなかは非日常であり,そこにいきなり出現した日常的行為である「おんぶ」に驚いたのだと思う。
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