連載 「配慮が必要な学生」の学びにつなげる対応 臨地実習における教育上の調整を考える・6
感情起伏が激しく,敵味方の区別が著しい特徴をもつ学生への対応
松岡 千代
1
1佛教大学保健医療技術学部看護学科
pp.484-488
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200769
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臨地実習での看護教育の難しさは,学生の特徴や特性をふまえたうえで,それに応じた教育的な調整を行いながら進めていくことです。そこでは対象者の安全を守ることや適切な看護を提供することが求められ,そのため教員は学生に対しての注意喚起の際,厳しく指導することもあるでしょう。しかしながら,時にそれは学生にとって脅威となり,否定的な感情につながります。一般的な学生の場合,これまでの連載に登場した事例のように,時間をかけて学生の思考や行動の状況を聞き取り,相互に振り返ることで感情的な摩擦を悪化させることなく,発展的な教育的な関係性を築くことができると思われます。
しかし,他者からの指導や助言を「否定」や「非難」としてとらえ,自分のことを認めない「敵」とみなし,激しく怒る・泣くなど,攻撃的な態度や激しい感情を表出するという特徴をもつ学生もいます。このような態度は,ケア対象者に直接向けられることは少ないように思われますが,学生に密接にかかわる教員や臨地実習指導者がターゲットとなることが多く,同じ実習グループの学生も巻き込みながら,それにかかわった多くの人が感情的に疲弊してしまいます。そのため学生の特徴を早期に理解し,感情的に巻き込まれないよう冷静に対応することが求められます。
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