特集 「楽しい」解剖学を求めて
解剖学で「人」を知るのはおもしろい─美術解剖学の魅力
阿久津 裕彦
1,2,3
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京芸術大学美術解剖学講座
3武蔵野大学看護学科解剖学
pp.350-356
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200740
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はじめに
医学と芸術。この両者に何か関係性があるように思われるでしょうか。現代においては,まったく別々の道を歩んでいるように見える医学と芸術ですが,実は同一の興味から始まっているのです。それが人体です。「芸術は長し,人生は短し」の格言は古代ギリシアの医学者ヒポクラテスによるものですが,彼の言う芸術は医術(医学)を指してもいます*1。医術と芸術はどちらも正常な人体をつくる技(Art)なのです。
私は,東京芸術大学彫刻科に入学して美術解剖学を知り,その後,順天堂大学の解剖学講座へ進みました。私にとって,解剖学(医学)と彫刻(芸術)は同じものです。その両方を修めたことから,現在は,医療系と芸術系で解剖学を教えています。解剖学はよく「覚える科目」として言われますが,より本質的で興味深いアプローチへのひらめきが美術解剖学にあるかもしれません。
本稿では美術解剖学を通して,解剖学を学ぶおもしろさについて語りたいと思います。
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