特集 使える「患者役」になろう!
学生の段階的技術試験や新人看護職員合同研修における「OGナース」の模擬患者としての活用
若林 亜由美
1
,
田口 恵美子
1
,
高口 みさき
1
1愛知県立総合看護専門学校
pp.888-894
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200624
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当校での「OGナース」の模擬患者としての活用
看護の現場では,急速な医療の高度化による侵襲の高い行為や,高齢者の増加・対象者の権利意識の変化などから高度なコミュニケーション技術が求められるようになってきた。しかしながら,臨地実習においてはそうした行為を十分に体験することが困難になっている。厚生労働省は「看護教育の内容と方法に関する検討会報告書」1)において,侵襲を伴う行為を習得するためのシミュレーターの活用や状況を設定した演習の充実およびコミュニケーション能力を伸ばすため模擬患者を活用したシミュレーション教育を提言している。つまり,より現実味のある演習を展開するためには,リアルな状況(シナリオ)を創り出すことと,それを実習室のような学びの空間で再現する患者役が必要ということである。患者役には,NPOなどでトレーニングされた模擬患者の活用が望ましいが,実施までの打ち合わせなどにかかる時間や労力,費用の問題があり,実現は難しいという学校・養成所が多いのではないか。
当校は,3年課程の看護師養成とともに,看護職員の質の向上を図ることを目的に,看護職員の継続教育の機関として,2003(平成15)年度より看護研修センター(以下,当センター)を附帯している。当センターには,臨床経験30年以上の経験を有し定年退職した後の再任用・嘱託職員であるベテラン「OGナース」がおり,出張研修や看護職カムバック研修など,さまざまな研修事業で活躍している。「OGナース」は病院での長い臨床経験はもとより,人材育成・管理業務の経験や,なかには看護師養成所の教員の経験を有する者もおり,豊富な経験と人間的豊かさをもつ貴重な人材である。
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