書論
書籍の語りに引き出される私の経験
藤田 愛
1
1医療法人社団慈恵会北須磨訪問看護・リハビリセンター
pp.306-311
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134170450300040306
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誠実な語りの連なり
鈴木沙織さんの著書『ことばにしてみた訪問看護の看取り』(医学書院)という書名に触れたとき、いくつもの言葉にできないままのあの時、あの場面について、手がかりが得られるような気がして心躍りました。目次に並ぶのは、細やかに表現された訪問看護の看取りの場面。一体そこには何がどんなふうに書かれているのかと、早く本を開きたくなりました。
「ことばにしてみた」という言い回しには、著者の鈴木さんの覚悟と、それでも揺れ動く気持ちの両方がにじんでいるのではないでしょうか。それは、現場で誰かの最期に立ち会ったことがある者にしかわからない、独特の質感を持った表現であると感じました。

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