特集 「気持ちのいい」ケアを教えよう!
ケアを通して関係性が深まる─気持ちのいい全身清拭
樋勝 彩子
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.352-355
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200495
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全身清拭の「気持ちよさ」はどこに焦点をおくか
人がからだをきれいにするときはどんなときだろうか。今日一日の仕事を終えて床に就く前?すごく疲れているときにからだを休めるのと同時に?あるいは人に会う前に身支度を整えるため?いずれにしろこの行為は,皮膚表面の清潔を維持するという目的だけでなく,ゆっくりからだを休めたい,あるいは活動の準備をしたいという意思の表われでもあるといえる。
病気を抱えている人に対して行う全身清拭は,自分のからだの清潔を保つことが何らかの理由でできない場合に,部分あるいは全体的に支援をする技術である。多くのテキストのなかでその目的は「皮膚の清潔」「末梢の血液循環の促進」といった身体的側面に加えて「患者に爽快感をもたらす」「整容をして他者との交流を促す」という心理社会的な側面を含めた目的が提示されている。では実際には「気持ちのいい」全身清拭はどのように行われているか。事例を用いて考えてみたい。
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