特集 「気持ちのいい」ケアを教えよう!
「快適起床ケア」で1人ひとりの朝を創ろう─気持ちのいいモーニングケア
大橋 久美子
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.346-351
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200494
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モーニングケアとはどのようなケアなのか
私は混合外科病棟で看護師をしているとき,夜勤で患者さんと夜を共にして一緒に朝を迎え,これから一日を始める患者さんの朝のスタートを支えるモーニングケアが好きだった。痛みで夜あまり眠れなかった患者さんが,自分のやり方で洗面をしながら,「気持ちいい」「さっぱりした」「今日はがんばれそう」と気分を立て直す場面に立ち会うことや,ある患者さんのご家族から「うちのおじいちゃんは,朝に髭を剃らないと,一日が始まらないって言うんですよ」と教えていただいたこと,たまに患者さんから「あなたもお疲れ様」と労われ,心のなかで「どうかこの患者さんが今日一日を無事に過ごせますように」と祈ったこと。こうしたその人らしさが垣間見られるモーニングケアがとりわけ印象に残り,この10年ほどモーニングケアの研究を続けている。
近年のモーニングケアは,「洗面介助」や「口腔ケア」と同義的に扱われ,テキストではケア内容が環境整備や清潔の章に吸収され,“モーニングケア”という用語そのものが消えていく状況がある。モーニングケアの実態に関する全国調査1)において,9割以上の看護師がその目的を「清潔」と答え,8割以上の看護師が認識しているケア内容は,顔や手を拭く,歯磨きのみであった。しかし,モーニングケアはルーティンに行われている当たり前のもので,実態は「清潔目的の洗面介助/口腔ケア」かもしれないが,ただそれだけの一言で表せるケアではないと,私は考えている。
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