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書評 ─『経験型実習教育 看護師をはぐくむ理論と実践』─臨床現場のケア改善に寄与する教育書
筒井 真優美
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1日本赤十字看護大学国際センター
pp.233
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200467
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安酸史子氏がなぜ,経験型実習教育に関心を向けたのか。それは氏の学びの経歴に関係する。氏は専門学校を卒業後に臨床を経験し,千葉大学看護学部に1学年から入り直している。同級生と一緒に実習するなかで,「看護師や教員が叱りつけるような出来事でも,必ず学生なりの理由がある。そのことを言えない学生も多くいた」(p.v)ことを,臨床をふまえ,改めて一人の看護学生の立場で学んだのである。学生時代にこうした“学び”への関心が芽生えていたのだ。
そうした思いから,長きにわたる教員生活の結実といえるこの書籍は以下の一文にその哲学が示されている。「経験型実習教育においては,学習者を成人と捉え(成人教育学),教育内容はヒューマンケアリングを志向し,関わりの方法論としてはケアリング及び自己効力理論を基盤にしている。経験型実習教育では,教師は学生が豊かな直接的経験ができるように学習環境を整え,反省的経験の過程が促進されるような学習の場を準備し,学生による探求が進むように援助する。この経験の捉え方はデューイの考え方をもとにしている」(p.52)。
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