増大号第2特集 看護学生・教員エッセイ─入選エッセイの発表
学生部門
兄との絆
畑中 千穂
1
1行岡医学技術専門学校看護第1学科
pp.750-751
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200289
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私には2歳上の兄がいます。兄は小学5年生のとき,突然痙攣を起こして転倒し救急搬送されました。検査の結果は脳腫瘍でした。当時,私は小学3年生で,兄が病気といわれても,すぐにはその重大さが理解できませんでした。しかし,私の目の前で泣き崩れる両親を見て,兄に大変なことが起きたのだということがわかり,家族で一緒に泣いたあの日のことは鮮明に覚えています。
その日から私の生活は大きく変わりました。いつも一緒にいてくれた祖母は,両親が仕事で病院に行けない間,兄に付きっきりで病院にいました。母も仕事が終わるとそのまま病院に向かうため,毎日,家に帰っても私は独りきりでした。母や祖母が帰ってくるまで近所の方や友達の家にお世話になっていました。夜には迎えに来てくれましたが,母も祖母も疲れも隠しきれず悲痛な面持ちでした。会話も暗く,兄の話ばかりで以前のように学校の楽しかった話など聞いてもらえなくなり,授業参観なども来てもらえず,1人で毎日ずっと泣いていました。
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